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高次は部屋の角にいる山田大炊介を見た。
「どうやら京極にも血気盛んな連中がいるようだからな」
大炊介がニヤリと笑う。
京極の兵は、高次の臆病が伝染したように弱いものが多かったが、獰猛で勇猛果敢なものも少なくはなかった。
「大炊介。お主のようなものはどれだけおる?」
「ざっと見て500人」
西軍の数に比べれば心許ない人数かもしれない。しかし、高次からすればこの精鋭達ほど頼りになるものはいなかった。
「よし。では、その人数にて西軍の腹に風穴を開けてやれい。やり方は任す。わしは何も言わん。ただし、深追いだけはするな。機を見て直ぐに撤収しよ」
大炊介の顔が紅潮している。息は少し荒くなり胸が小刻みに膨らんでいる。目が爛々と輝いていた。
「了解しました。ありがたき幸せ!」
大炊介は跳ねるように部屋を出た。
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