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城内の雰囲気は最高潮だった。
高次が一人一人にねぎらいの言葉をかけて回っている。
「大炊介。よくやった」
「ありがたき幸せ。しかし、まだまだ序の口です。毎回、こう上手く行きませんよ」
「そうか。では明日からは守りに転じよう。お主らにはまた働いてもらわねばならん。ゆっくり休んでおけ」
「休めと言われても、体がうずうずしまして」
「ならん。我らの精鋭は少数だ。ここぞという時にだけ働いてくれ」
高次は大まかに二つの部隊に分けていた。勇猛な精鋭500は白兵戦に。戦の苦手なもの、臆病なもの2500は城の守りである。
城を守るのは、城壁に隠れながら矢や弾を撃てば良いので、精神的に軽い。次なる奇襲のために、大炊介達は存分に休ませたかった。
「そうですか……。は、そういえば!」
「どうした?」
「名前を叫ぶのを忘れておりました。これでは山田大炊介の名が知れわたりませんわ」
大炊介は大笑いした。
ーー頼もしい奴らだ。
高次は今日という日の戦いを、そして槍や刀を振ってきた兵一人一人を誇りに思った。
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