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「助太刀にまいった」
連貞は馬で駆けながら刀をふり一閃した。馬を器用に旋回させながら、また一人二人と切っていった。
「夜襲は失敗だ。退けっ退けっ!」
大炊介の大声で、京極兵は門に向かって一斉に走った。しかし、そのうち何人かは立花軍に討ち取られる。
連貞の目に大炊介が映った。こやつが頭か、と勘づくと、他の兵には目もくれず一直線に走った。
大炊介も連貞に気付く。とっさに危険を感じた大炊介は、十文字槍を突き刺して討ち取ろうとしたが、連貞も刀で受け止めた。火花が一瞬カッと散りお互いにのけ反った。
大炊介は思わず口元が弛んだ。連貞の方をむくと彼もまた嗤っている。好敵手を見つけたのだ。数秒にらみ合うと、大炊介は逃げていった。
「止めいっ。もう追うな。それよりも怪我人の手当てが先決だ」
京極兵を追おうとする兵を、連貞は制止させた。
しばらくして宗茂がやってきた。
「宗茂様、筑紫軍が夜襲に遭いました。どういたしましょう」
「まずは詳しい被害の確認だ。それに京極高次、なかなかやりよるぞ。これでは埒が明かん」
「では、どうされます?」
宗茂は神妙な顔つきをした。
「明日、わしは元康殿と話してくる。采配を分けさせてもらうぞ」
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