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東門は立花軍と筑紫軍の担当していた場所である。おそらく、立花軍が総力をあげて攻撃をしてきているのだ。
「立花軍が大量の竹束を作り、守りながら少しずつ寄ってきています」
「そんな古くさいやり方を。おそらく何か奇を狙っておる」
「奇とは?」
「わからん。わからんが、なんとかするしかないだろう」
竹束とは戦国時代の古典的な防具だ。竹を束ねて縄で円柱になるようにしばり、それを並べて防具とする。遠くからなら銃弾を防ぐことができるが、中距離程度から撃たれれば貫通する。
「お主は大炊介達を三の丸に呼んでまいれ。わしは東門へ行く」
東門には門齋がいた。
「高次様。このようなとこに出てこられては困ります」
「それはよいのだ。それより今どうなっておる?」
「立花軍が橋のたもとまでやって参りました。竹束に隠れながら、狭間から顔を出す我が軍を狙撃しています」
「くっ。負けるな」
高次の声も空しく、狭間から狙撃をしようとした兵が逆に狙い打ちされて倒れた。
立花の戦法は奇を狙ったものではない。基礎能力を徹底的に鍛え上げただけである。竹束に身を隠しながら前進して撃つ。そしてまたじわりと前進して撃つ。その繰り返しであるが、確実に門へと近づいていた。竹束があろうが、城に近付くにつれ射殺されるリスクは高くなる。しかし、勇気を持って一歩一歩進んでいたのだ。
ドドドドドッ。ドドドッ。ドドドドドッ。
立花軍から一斉射撃の音がなった。
「高次様! 二の丸にお逃げください! ここは危ない!」
門齋が怒鳴る。高次はその圧に押されて二の丸に向かった。
一斉射撃が終わった瞬間である。石垣の上に立花の兵が現れた。
「十時連貞、一番乗りい!」
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