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「なぁ、思いと想いの違いって何か知ってるか?」
「なんだよ、突然……」
「いや、なんとなく気になっただけだ」
「あっそ。てか、おもいとおもいの違いってどう言うことだよ?」
「あぁ、ちょっとまってくれ」
机の中から適当に取った数学のノートを開き、真っ白な新しいページに思いと想いの二文字を書き記した。
「この違いってなんだと思う?」
「そんなの一緒じゃねぇか?」
「でも、漢字が違うってことは、意味も違うだろ」
「そうだな〜。てか、そんなの携帯で調べればわかるだろ?」
「う〜ん……」
「でたよ、いつもの翔真の変な癖。どうして、調べないかねぇ」
「簡単に答えがわかったら面白くないだろ。和馬だって最初から強くて、相手にならないようなゲームやってても面白くないだろ?」
「いいや、そっちの方が面白いだろ」
「変な奴だな」
「そっくりそのままお前に返すよ」
高校に入ってできた友達である和馬とそんな会話をしながら、和馬の言うように時折こういった質問を投げかけていた。というのも、執筆活動をしていて手が止まる瞬間の一つでもある。同音異義語について分からなくなるからだ。
同じ音でありながら、異なる意味を持つ言葉。執筆している中で表現として、意味としてどれが正しい漢字なのか悩むことは多々あること。その一つとして今日は思いと想いの違いについてわからなくなっていたのである。
思うという漢字を使うときは、自分が考えていることを話すときに文末につけるのがよくあるパターンだ。
私は美味しいと思います。あなたは、綺麗だと思います。と言ったように。
しかし、想いという漢字はどうであろうか。想いという漢字を使うようなタイミングは日常生活でまず見たことがない。しかしながら、小説などの見出しであったり、漫画の文字なんかでは度々目にする漢字でもある。
「なぁ、和馬は想いって漢字ってどんなときに使う?」
「どっちだよ?」
「相手の相に心って書く方」
「う〜ん……。言われてみれば使うときないな」
「どこでも?」
「そうだな。言ったことも、書いたこともないな」
「そうか……」
和馬に聞きながら、俺自身今まで体験したことがないことに気づく。もしかすると死語の類なのであろうか。
しかし、小説や漫画などで見る以上意味があることは確実である。あえて、想いという漢字にしている意味。それはなんなのか。
思いと想いの違いはなんなのか……。
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