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「ん、ぁああ……よく寝た。うわ、十時間経ってる」
時計を確認してもうすぐ昼時なことを知って驚くが、今日は休日なので学校に遅刻することはない。遊ぶ相手も、山田がいない今ではいないから、ゲームをする時間が短くなったくらいである。
「えーと、昨日何かあった気が」
「キョワン! ワンワン!」
「おっよしおぉ~~~~~朝から可愛いなあ~~~~よしよしよしよし」
ベッドに乗っかりペロペロ舐めてきたよしおが愛おしくて、いつも以上に体中を撫で回す。実に嬉しい。通常なら、呼んで初めて控えめに来るだけなので、珍しいこともあるものだと感慨にふける。
よしおの向こう側に、人形が一体落ちているのが見えた。
「ああ、そういえば人形を拾ったような拾ってないような」
人形を拾い上げると、顔がこてんとおかしな方向に曲がる。
「んん? これ、こんな曲がってたっけ。折れてる? ……そうか! よしおが遊んで折っちゃったんだな」
一人納得して頷く。よしおが寂し気な声で小さく反論した。
「クゥン」
「そうかそうか。いいんだぞ、それならこの人形はよしおの遊び相手にしよう! ワンちゃんのおもちゃになれるなんて、この人形も本望だろ」
「ほん、もうじゃ、ないぃぃ」
「なんか聞こえたか? 気のせいかな。いくぞ、よしお~!」
人形を高く放り投げる。
「はわわわ、ほわわ」
慌ててよしおがキャッチする。人形は怖いが、晴臣>>>>>>>>>>人形なので致し方ない。
「イイコだ。もういっちょいくぞ! それ!」
今度は高く上げ過ぎて、天井に勢いよくぶつかった。
「ぎょぼっべぇっ」
「キャンッ」
「すごいぞよしお!」
「ぎゃっいだ、いだい、止めて! 元のゴミ捨て場に戻してぇええ」
「ワンワンッ」
「ちょっと強く投げすぎたな。ごめんごめん、次はこうだ」
「ひいいいいい」
「キュンッ」
「もう、呪いませんからぁあああああああああああ」
呪いの人形(首と肩を絶賛負傷)が仲間になった。
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