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除霊
「ねぇユリちゃん、ホントに大丈夫?」
私の背中に、怯える同級生が声をかける。
「大丈夫だって。まかせて」
私はポケットから取り出した数珠を顔の前で握り、呪文を唱える。
「りん、びょう、とう、しゃ、かい、じん、れつ、ざい、ぜん!」
最後に大きく、かぁーっ!と吠え、数珠を握った手を縦に振るった。
バサバサッと烏が近くの木から飛び立った。
「きゃあっ!」
「怯えちゃダメ!『奴ら』が入り込んでくる!」
私は後ろの彼女に目もくれずに言う。
……やがて、そこには静寂が訪れた。
「ふぅ……良かった。これでもう大丈夫、またここで遊んでも平気だよ」
「あ、ありがとう。流石ユリちゃんだね」
「お礼なんていいよ。そうだ、コレ渡しておくね」
私はポケットを弄り、白い紙の包みを彼女に渡した。
「これは……?」
「これは清め塩。私の念が篭ってるから、肌身離さず持っててね。何かあってからじゃ遅いから」
彼女はゴクリと喉を鳴らし頷いた。
「さ、お祓いも終わったし今日は帰ろう」
私はくるりと踵を返して歩き出した。
「ま、待ってよユリちゃ〜ん!」
後ろから、トテトテと走る音が追ってくる。
ふふ、霊感があると、こんなに頼られるなんてね♪
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