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信用してあげてもいいんじゃない
「ごめんね千晶ちゃん、また付き合わせちゃって」
申し訳なさそうな近藤さんの声がした。
「別に……さすがに二年目にもなると慣れますし」
連日続いてる残業理由の幹部社員の不備に、ね。
黙々と作業が続く。
「……最近どう? 弟さんも学校に慣れてきてるのかな?」
ぴたっと、キーボード上の手が止まる。
「さあ」
冷たい声が出た。
学校はともかく。
「少なくとも、生活面はまだまだだと思いますけど」
「へえ」
「やっぱり私が世話してる感じがするって言いますか……学校が忙しいんでしょうけど、家のこととかほとんど私任せな状態になっていて、それなのに仕事増やしたりするんですよ」
「どんな風に?」
「昨日、勝手にうちに友達呼んでて。おかげで飲み物用意したり、急にありあわせのものでおやつ? おつまみ? も出さないといけなかったんですよ。うちの幹部社員みたくあいつは何も準備してないし、私も何も知らされてなかったから慌てました」
少し沈黙があった。
「……うん、それは、でも、やらなくても大丈夫だったこと、ない?」
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