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責任範囲の区切り方が難しい
別に、世話をするのが嫌いってわけじゃない。7歳も年が離れてればそれくらいの役目は自然と出来上がるし親の期待もあるし、ある程度は姉の宿命として受け入れられる。
それでも、どうしてか、責任もなく働いてもなく、自分の好きなことに打ち込んでるだけの年下を見てると腹が立つ。
そんなことを考えながら、朝、いつものようにオフィスに向かってると、執務室の隣の給湯エリアから新しく入った営業社員の話し声が聞こえてきた。
「千晶さんとか、あの部署って……何やってるのかよくわからないですよね」
ぶわっと湧いた怒りを必死に抑制する。
何を生意気な。バックオフィスをなめてんじゃないよ。誰のおかげでそっちが業務に集中できてると思って。
「おはよう、千晶ちゃん」
「おはようございます」
「今日もよろしく」
バックオフィス――正式な部署名はない――の上司、近藤さんと同時に席に着き、いつも通りに仕事が始まる。
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