やること増やしてるだけのやつ

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 佑真とはそこから急速に打ち解け、ライバルなりに仲良くなったと思う。まだ知り合ったばかりだけど、これから先も同じ世界でやっていけたらという願いは少なからず、ある。  帰宅はいつも俺のほうが早い。レッスンが終わってそのまま芝居談義と何かの鑑賞をしないかと、うちに誘った佑真とリビングで話してると、やがて少し疲れた顔をした姉が帰ってきた。 「……ヒロ、ちょっといい?」  玄関先に呼び出される。 「……連れ込み禁止って言わなかった?」 「女の子の、だろ」  すると姉はムッと口をつぐんだ。 「……何か用意しないといけないじゃん」 「いいよ別に。頼んでないし」 「そうは行かないでしょ……」  そのまま、反論は許さないばかりに台所に向かった。  止めても無駄な気がして放っておいたけど、内心モヤモヤしたものが渦巻いてた。  佑真がいるだけマシなものの、地味な嫌がらせは続いてるし、正直ちょっと参る時もある。  なのに、うちにいる時まで役立たずとか邪魔者の扱い、やること増やしてるだけのやつって思われてんじゃ、キツい。
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