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姉貴の顔に戸惑っていた
「仕事もなければ家事もしなくていい。学生は気楽でいいね」
リビングで配信演劇を鑑賞してると、背後に声がした。振り向くと、マグカップを手にこっちを睨んでる姉の姿があった。科学的な香ばしい匂いが部屋に充満する。
「いや、もう学生でもないか。高校辞めた俳優志望の……フリーター、でもないよね?」
一時停止ボタンを押し、込み上がる苛立ちを抑えて冷静に返事する。
「……千晶ちゃん、コーヒーなんて飲んだっけ?」
うちにいた頃は、いつも同じ海外ブランドの紅茶を好んで飲んでたはずだ。
「最近仕事が忙しくてカフェインが必要なのよ。ヒロも社会に出ればわかる」
なんだその言い方。
大学も実家からの通いだったし、この人が家を出ていっちょ前に一人暮らしや仕事なんてしだしたのはたった2年前の話だ。いつの間にそんな偉そうに語れるようになった?
「……気楽なわけないだろ。なれるかどうかもわからない職業目指して勉強中なんだから」
「その自立してなくて勉強中のあんたの面倒見ることになってるのはあたしでしょ。せめて感謝する姿勢くらい見せたらどう? あと、そんな暇そうにしてないでバイトくらいしたら?」
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