はじめまして、赤ちゃん

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はじめまして、赤ちゃん

「さぁ、お母さん、抱いてあげて。あなたの赤ちゃんよ」  必死の思いで産んだ我が子を、初めて見た瞬間、痛みからではない涙が流れた。 「紗栄子、よくやった。ありがとう。可愛い男の子だよ」  感動で泣いている夫。  夫にはまったく似ていない赤ちゃん。  たった一度の過ち。なのに、どうして、あの人にそっくりなの。 「ほら、とっても元気に泣いてる」  看護師さんの言葉に、私は声を上げて泣いた。  これからずっと、過ちと向き合いながら生きていかなくてはならないのだ。  赤ちゃん、あなたには何の罪もないけれど、私は貴方を愛せる自信がないわ。ごめんね、赤ちゃん。  でも、あなたはとっても可愛いわ。  はじめまして、赤ちゃん。私をお母さんにしてくれてありがとうね。  言葉に出せない思いを胸に、私はただただ泣き続けた。
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