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「店長!! 店長!!」
突如店の奥へと呼び掛け始める女性店員。
間を置かずして、奥からスーツ姿の初老の男性店員が現れた。
「こちらの方……夏だからって冷やし中華はおかしいと……」
服屋で、という部分がすっぱり削除されているとに異議を唱えようとしたが、店長が気色ばむのが早かった。
「何だって?」
店長は顔色を青ざめさせたまま、強張った表情で勇作を睨みつけた。
「き……貴様……、カキ氷推進派の手先か? 前にも言ったが、うちはカキ氷を始めるつもりは無い!!」
「え、何? 推進派?」
「と、とぼけても無駄だ。夏だから冷やし中華始めました、を否定してかかるなんて、カキ氷推進派がいかにも考えそうなことだ!!」
「いやいやいや、そんな変な集団知らないです。勘違いです」
「勘違い? カキ氷推進派ではないと言うのか?」
疑りの視線を緩めない店長に、勇作は違いますと主張し続けた。途中で、何でこんな必死で否定しているんだろうと思わなくは無かったが、頓智黄な集団の一味だと数えられるのが嫌だったのだ。
「本当に?」
「ほ、本当です」
「ならば……これを踏め」
店長は胸ポケットから一枚の写真を取り出して床に置いた。そこにはかき氷の写真が写っている。
「有名店のかき氷、淡雪のくちどけストロベリースペシャルの写真だ」
「……ていっ」
迷いなくその写真を踏みつける勇作。
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