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波音が聞こえる我が家まで彼女を何とか運び入れた。
俺はあり物のタオルで額の傷を押さえて全身を冷えないように包んでやった。
彼女吐息が漏れる。はぁ、はぁとその息が大きくなる。
「…はぁ、はぁっ!」
「あ、あの!?大丈夫ですか!?」
「…苦しい…!水、水を!」
「水!?」
俺は慌ててコップに水を汲んで渡す。
すると彼女はそれを奪う様に取り、水を頭からかける。
「えっ?飲むんじゃ?」
「…はぁ!はぁ!…苦しい…もっと。」
「ええ?もっと?えっと!」
俺は慌てて家を探る。そして風呂場に目がいく。
蛇口を一気に開いて水を風呂へ。
そのまま彼女を抱えて風呂場へ。
「あ、あの!水です!」
彼女は小刻みに頷くと、俺の手をするりと抜けて風呂へ落ちるようにして入っていった。
頭から水を被り、全身に水を浸す。
彼女の呼吸が少しずつ、平常に戻っていく。
風呂場の脱衣場と湯船を隔てて俺は彼女を見つめた。
ブロンドの髪、目は片方は青く澄んで、もう片方は髪と同じブロンド。鼻はスっと高く出ている。白い肌と淡い優しいピンクの口元。
美しい瞳を直視し続けれず、俺は少し視線を下に。
すると彼女はバスタブの中から一言。
「ありがとう。」
と。俺に言ってくれた。
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