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しばらく沈黙が続くが彼女の優しい、小さな声がそれを破った。
「…他の人は居ないの?」
「…居ないよ。」
「御家族は?」
「…今日から居なくなった。」
俺は俯いたまま喋った。
するとバスタブから水の音が。彼女が立ち上がり俺の方へ。俺の顔を覗き込む様に屈む。
「…助けてくれてありがとう。」
「いいんだよ。」
今、誰かに感謝されるなんて思って無かったから、何だか妙に満たされる。
「…あなた、名前は?」
「オルタ…。君は?」
「私は…ルカ。」
「よろしく、ルカ。」
俺が差し出した手を彼女は両手の指先で触れる様に掴んだ。
「オルタ、あなたは…陸の人?」
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