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誰も居なくなった病室。
そこに訪れるカイト。
「!?」
もぬけの殻となった病室を慌てて飛び出した。
「あのやろう!どうやって!?いや!ついに!というべきか!?」
波打つ海岸。青い海の中に消えていったのは間違いないだろう。
カイトは警察を呼んで総出で辺りを散策したがルカとオルタは見つからない。
「クソ!」
カイトが帽子を地面に打ち付けて強くふんだ。
「…カイト…。」
「リーク所長!」
「所長はよせ、俺はもう引退したんだ。…それより…その怒りよう…。」
「ええ、カリュブディスが遂に海に帰りました!」
「…そうか…。」
リーク所長とカイトが海を見つめる。
「…お前は…まだ…恨んでいるんだな。」
「ええ。」
「…だが…お前はルカとオルタ君が一つになってから…決して手を出さなかった。」
「…他の人を巻き込む気はなかったんだ。」 「…そうか…、しかし、殺人事件について、諸事情を説明し、深く頭を一緒に下げて回った姿は立派だったぞ。」
「事件を解決、責任をとるなら当然ですよ。」
「…【鯨】として、海へ戻るか?」
カイトはしばらく海を見つめた。
ゆっくり帽子を拾って土を払ってそれを深く被った。
「いいえ…まだ沢山仕事が残ってますから。」
カイトはゆっくりと海を離れる。
「所長!」
「…だから所長は止めろ!」
カイトはゆっくり振り返る。
そして深々頭を下げた。
そのまま去っていく。
「あいつ…大人になったな。」
リークは静かに海を見つめていた。ゆっくりと海へ夕日が沈んでいく。
「…あれが彼と彼女の選択なんだろう…。オルタ君もルカも…きっと後悔などしてないだろう…。いつか、…
陸と海を繋ぐ存在となるのかもしれないな。」
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