波打ち際

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陸の人。 その言葉。俺の脳裏から昔聞いた話を引き出した。色んな物語や歴史書に記されていた。 太古から海と陸は存在していた。 だから陸の生き物と海の生き物がいる。 そして、人間もかつては海に生きる生物で陸に上がったと。長い年月をかけて人間は陸に適応した陸の生き物となった人間。その中にまた新たに海に生きる人間が出た。 だからこの世界には実は陸の人間と海の人間が居ると、言われていた。 ただ、実際に会ったものは無く、童話の話とされていた。 「じゃあ…ルカは…。海から?」 俺の問いかけにルカはこくこく頷いた。 海の人間。 童話では顔が魚だったり、背中に鱗があったりしたが、本物はパッと見ると何も違いは無い。海に生きている人間なのだ。 そして、ルカが突然崖下に現れたのもそういう事だ。波と共に陸に上がってきたのだ。
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