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俺のモテ期なんて8歳の時に終了したし、正直合コンに来たのだって、気まぐれみたいなものだ。
みんなと楽しめたらそれで良いし、村瀬と長月が人気になることだって、最初から分かりきっていた。
だから、別に、驚いたわけじゃない。
「実は、秋くんが部屋に入って来たときに、隣に座ってくれないかなって思ってて」
「なんで?」
「秋くんだと喋りやすそうだし。一緒に入って来た人のことも教えて欲しいなって……すごく、素敵な人だったから」
別に、いつものことだし。
「ああ、村瀬ね……かっこいいよね」
「うん」
別に、黒髪の子がタイプなわけじゃないし。
「村瀬、すごく優しいし、俺が言うのもなんだけど、いい奴だよ。あと……好きな人、いないって言ってたし……」
なのに。
ちくりと、何かが刺さったように心臓のあたりが痛む。
手で痛みを散らすように胸の上を触ると、モヤモヤがまた、内側から溢れ出た。
「秋くん、大丈夫?」
気遣うようにかけられた声に戸惑う。
「あ……うん。へーき」
大丈夫……って?
何が?
俺は一体何に────
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