言葉はいつも薄っぺらいよ

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「きゃああぁー!!」 嫌悪たっぷりの絶叫が響いた、かと思ったら。 「仁志くん楽しいー!」 花園サイドは予想に反して仁志の下ネタに大盛り上がり。 あれ? 大和撫子はいずこへ? 仁志以外、全員ぽかんとしていると、右隣の活発そうなボブヘアの子が耳打ちしてきた。 「私たち女子校なせいで、結構際どい下ネタとか学校でもバンバン言っちゃうんだよね」 「へ、へえ、そうなんだ……いや、苦手じゃなくて良かったよ」 焦ったせいで、また喉が乾いてミルクティーを飲もうとグラスを手に取る。 「あ、」 先程一気飲みしていたのをすっかり忘れていて、グラスの中に残った氷がカラカラ虚しい音を鳴らした。 仁志の饒舌な下ネタを絡めた自己紹介は順調で、笑い声で溢れ返った室内は、俺の「メニュー取って」と言う祈りをあえなく掻き消す。 どうしたものかとメニューを探してきょろきょろ視線を彷徨わせていると、少し離れたソファに座る村瀬と目が合った。 何か言いたげに口を動かしているのがわかって、口パクで訊ねる。『なに?』 村瀬の目元が心配そうに細められて。 『だいじょうぶ?』 たぶん、そう返された。 なぜかその行為にどきりとして、思わず息を止めて必死に頷く。 そんな俺を見て、いたずらっぽい笑顔を見せた村瀬が、ふと意識を右側に向けた。 村瀬の隣に座る女の子が、肩を叩いて何か耳打ちしたのだ。 ざわ。 楽しそうに笑い合う二人は、まるで恋人同士みたいで、すごくお似合いだと思った。 なのに。 楽しくない。 今まで感じていたモヤモヤよりも、どちらかと言えば不快感というか、そんなマイナス寄りの感情が、ポツポツと自分の中に小さな穴を空けているみたいに。 初めて感じる妙なこの感覚は重くて息苦しい。喉も乾いて、唇もパサパサしてる気がする。 「あの、そこのメニュー」 堪らずメニューを取ろうと、腰をあげた俺のシャツが小さく引っ張られた。
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