左手はずっと君をさがしてる

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「なあなあ、アッキー。放課後暇?」 六限目が終わり、掃除用具入れの前まで行くと、意味深な笑みを浮かべた仁志が俺の肩に腕をまわした。 「暇じゃないって。俺、掃除当番当たってるし」 まったく、掃除を当番制にするなんて非効率にも程がある。 男子高校生の貴重な放課後は、スイーツフィールドワークに費やすためにあるというのに。朝一全員でクイックルワイパーしたら一発だと思うんだよ。 「今日、カラオケ合コンだけど、来る?」 「え……俺、そういうの苦手って前にも言ったじゃん」 「お相手、花園女子でも?」 「花園ってあの!?」 「イエス。メンツもアッキーが知ってる奴ばっかだから、楽しめると思うけどなぁ?」 「わあー、どうしよ。じゃあ行ってみようかな」 「よっし、んじゃ決まりな」 才色兼備。上品。気立てが良い。 大和撫子三拍子の花園女学院。 あのお嬢様高校との合コンとか、一生に一度ありつけるかどうかも分からない奇跡に等しい確率だ。 17年間の俺の地味な人生。唯一のモテ期は8歳の時に全て使い果たしてしまったけど、純粋にクラスの女子以外と話せるのは久しぶりだし、そう考えると楽しみになってきた。 「じゃあ、アッキーと村瀬も参加でこっちは6人か」 「あれ、村瀬、合コン苦手なんじゃなかったっけ?」  あの村瀬が合コンに行くとか。これまた奇跡に等しい。 「アッキーが行くなら来るってさ。でも用事あるから後で合流するって言ってたっけな。アッキーとどっか行く約束とかしてんの?」 「いや、俺は別に約束してないけど……でも村瀬も来るなら、俺たち引き立て役ってことだなぁ」
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