ハローグッバイ

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この虚しさは、なんなんだろう。 胸にぽっかり穴なんて開いたら大変だけど、たぶん俺の心は豆腐みたいふにゃふにゃで、叫んだ弾みで風穴が開いてしまったのかもしれない。 そして、その穴を開けたのは村瀬じゃない。 俺自身。 ただ両思いってだけで、俺は醜い嫉妬なんかに心を取り乱して、村瀬を傷つけた。 ──二度と話しかけるな! 耳の奥でこだまする、自分の声に泣きそうだった。 あんなに怒った自分自身が怖くもあった。 村瀬が好きだと分かってから、心が浮ついて言うことを聞いてくれない。 どんどん内側から溢れてくる気持ちを、どうしてあげればいいのか分からない。 このままじゃ駄目だ。 こんなんじゃ嫌われる。 あんなこと、言いたかったわけじゃない。 なのに…… 「何で言っちゃったんだよぉ」 村瀬がそんなことするわけないって、俺が一番知ってるのに。
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