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「へえー」
「ほおー」
宮森と付き合いはじめて4日目。
修学旅行の話し合いがあったり、進路相談会があったりで、結局あの日以降、宮森と一緒にいる時間がほとんど取れないでいた。
そして、そんな状態だったものだから俺たちのことを言い出すタイミングも無く。ようやくこの二人に報告して、返ってきた返事がこれ。
拍子抜けしたというか、何というか。
「え……それだけ?」
驚くどころか、至極当然のように。むしろ若干呆れ気味に長月と仁志が目を細めた。
「それだけ、って言われてもなあ。他に何かある、仁志?」
「いんや、俺はそんなことより、松雪先生のシャツの下に隠されたマスクメロンの大きさのが気になる」
「なんだよそれ」
「要するに何も言うことなんてないってことだ」
男同士で付き合うのって、こんなにあっさり受け入れて貰えるものなんだろうか?
「あ……そ」
単にこの二人の感覚がおかしいのか。
肩透かしを食らったようで頭を掻く。
まあ、こうして話せる友人がいるというだけで幸せなのだろうけど。
「じゃー、俺部活行くわ」
仁志が席を立ち上がり、鞄を肩に担いだ。
「あれ、テスト期間中なのに?」
長月の問いかけに仁志が嬉しそうに目尻を下げる。
「自主練だよ、自主練」
「期末考査、明後日だろ。勉強しろって」
どんだけ音楽好きなんだよ。
「大丈夫大丈夫。俺、音楽推薦だから」
「そんな推薦ないだろ!」
カラカラ笑い声をあげながら、仁志が教室から出ていくのを見送ると、長月が呆れたようにくすりと笑った。
「仁志は相変わらずだねえ」
「ギター馬鹿もここまできたら、ある意味尊敬するけどな」
つられて笑いながら、時計に目をやると16時を少し回っていた。宮森が職員室に行って早15分。一体担任と何の話をしているのだろうか。
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