ハローグッバイ

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覗き込んだ宮森の瞳は、純粋にただ真っ直ぐ俺だけを見てくれている。 友達だったこれまでと何ら変わりなく。 ただ、恋人であるという事実が追加されただけ。 「だ……だって……こういうの、はじめてだし」 「こういうのって?」 「え、だから……その、ほら」 「ん?」 だけど。 その瞳の奥には確かに、今まで見たことの無い熱がうっすら色づいていて。 「キ……キス……するんじゃないの?」 俺はたまらず苦笑した。 この鈍感な恋人が、俺の自制心も忍耐も、無遠慮にぶち壊すような言動を平気でしてくるのだから。 「して、いいの?」 頬を撫でた指で、宮森の唇にそっと触れる。 初めて触れたその感触に、心臓が高鳴る。 「つ、付き合ってる、わけだし……」 満更でもなさそうな表情に、手を首の後ろに回して、そのまま引き寄せた。 鼻先が触れそうな距離で、宮森の長い睫毛が濡れたように瞼に被さる。 それだけで、もう心臓は悲鳴をあげそうなほど煩く拍動している。 昔も今も。きっとこれから先も。 お前に心振り回されるのは覚悟の上だけど。 「じゃあ、する……」 それすら、俺は嬉しいよ。
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