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土曜日の朝8時。
夏の強い陽射しがカーテンの隙間から射し込んでいる。
体が痛い……
洋司は重い瞼をうっすら開けた。
ぼんやりとした視界から、昨日リビングのソファで寝てしまったことに気がついた。
目の前に見えるテーブルには、開きっぱなしの会社のノートパソコン。
そして、畳んである洗濯物と、畳むつもりでいた残りの山。
洋司は畳むはずのバスタオルを自分にかけて寝てしまったようだ。
もう起きなければ。
頭の中では分かっているが、日々の疲れが溜まっている体は鉛のように重く、なかなか起き上がれない。
部屋に芳ばしい匂いが漂ってくる。キッチンから物音がする。
妻がパンを焼いているんだな、と洋司は思った。
にしても、芳ばしすぎるような……
意識半分で、洋司はもう一度匂いを嗅いだ。
……違う!焦げてる!!
ソファから飛び起き、キッチンを見る。
息子の陸が、トースターから黒くなったトーストを取り出そうとしている。
「熱いから手で触っちゃダメだ!」
洋司は思わず声を上げた。突然の父の大きな声に背中をビクッとさせ、陸の動きが止まった。
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