49人が本棚に入れています
本棚に追加
花火の音が聞こえている。一人静かに読書をしている結斗にはとても耳障りだ。顔をしかめ本を閉じた時、またも騒がしく玄関の戸が開いた。
「結斗さん! いますかぁ!」
(この声は、芽依か)
この家はだんだん騒がしくなっていくなと思いつつ、嫌々ながら部屋を出る。
芽依は血相を変えて、とても慌てているようだった。
「どうしよう、結斗さん!」
「何があった」
面倒くさいと思うが仕方がない。芽依は今にも泣き出しそうで、すでに涙目になっていた。JKといっても、女の涙はあまりいい気はしない。
「椋太さんが、消えてしまったんです。お社のほうに歩いていったかと思ったら、すぅって」
「はぁ?」
見間違いではと言いかけてやめる。今の状況では、ありえないことではない。
「とにかく来てください‼」
放ってもおけず、結斗は芽依の後に続いた。
最初のコメントを投稿しよう!