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ジリリリリ、ジリリリリ……と、目覚まし時計の鳴る音が、少しずつ大きくなっていく。
ほら、時間だよ。私の代わりに早く止めてよ。
君が目を覚まさないから。君が止めてくれないから。
寝室に響く、目覚まし時計の音が鳴り止まない。
鼓膜に煩く響いて、止まらない。
催促するように、ますます大きな音で鳴り立てる目覚まし時計。
いつまでも鳴り止まないその音を聞きながら、もう君が私の隣で目を覚すことは二度とないのだと、強く思い知らされた。
私の未来に、もう君はいない。幸せな日々は、糸を切るようにぷっつりと、あっけなく途絶えてしまった。
突然、瞼が燃えるように熱くなる。そこに被せた掌が、ぬるりとした涙で湿った。
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