君に告げる音

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窓の向こうのブルーモーメントの空が眩しい。それがあまりに綺麗すぎて、これが夢で、さっき見た深い海の暗さこそが現実であるような気がする。 むしろ、そうであってほしい。そう願いながら辺りを見渡したけれど、そこはやはり、見慣れた我が家の寝室だった。 新築の真っ新な白い壁。ベッド横のウォールフックには、シワの寄った真っ黒の服。壁の白に、その異質な黒は決して混ざり合わない。 やけに広く感じるダブルベッドの右側にそっと掌を這わすと、いつもは温もりを感じるはずの場所が今朝はひどく冷たかった。 昨夜は疲れてベッドに倒れ込み、泥のように眠りについた。だから、気付く余裕すらなかったのだ。 隣に君の温もりがもうないことにも、伸ばした手が何もつかめないことにも。 見えるもの、聞くもの、触れるもの。そのすべてに現実感がない。あの瞬間から、もうずっと。 あまりにも現実感がなさ過ぎて、まるで長い長い悪夢を見ているようだ。
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