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そんな日々の中で、しばらくして妊娠が判明した。
赤ちゃんを授かったことを伝えたときの君は、みるみるうちに泣きそうな顔になって、数えきれないくらいの「ありがとう」の言葉を何度も私に伝えてくれた。
「まだ産まれてもいないのに、気が早い」
そんな君を抱きしめながら、私は確かで明るい未来を想像して笑い転げた。
この子が産まれてくる日、感激屋の君はどれほどの涙を流すのだろう。考えるだけで可笑しくて、愛おしくて仕方なかった。
妊娠の喜びに浸っていたのもつかの間。すぐに悪阻が始まった。匂いに敏感になり、食べてもすぐに吐いてしまう。悪阻の吐き気は昼夜関係なく起こり、大好きだった甘いものにも全く手が伸びなくなった。
買い物や食事の用意、簡単な家事すらままならず、軽い船酔いのような不快感と眠気に一日中襲われた。
大好きだった図書館に通うことすら億劫になって、私が一日中何もせずに過ごすようになっても、君は変わらずにそばで寄り添ってくれていた。
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