ゲルゲーム

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「愚問だったでしょうか」  私も笑い返すと、 「ところで、都築(つづき)くん、ゲルを弾く体質について、きみはどう思う?」  部長は私の目をじっと見て訊いてきた。 「必要以上に嗅覚が鋭いこともそうですが、ある意味厄介な体質なのかもしれませんね。どんなに頑張っても、彼らに迎合できないわけですから」  自分は他の人間とはどこか違った体質なのだろうということはわかっていたが、それが具体的にどう違うのかまではわからなかった。  部長に出会って初めてその違いを知ったのだが、自分が並外れた嗅覚を持っているだけではなく、匂いの元となるゲルを跳ね除ける体質であることなど想像だにしなかった。  加えて、そうであるがゆえに、ゲル化した人間たちから煙たがられる存在にされてしまったことも然りである。 「いくらゲルを投げても受け付けない。仲間に引き入れたいのにそれが叶わない。ヤツらにしてみればおもしろくはないだろうね」  部長も私と同じ、ゲルを弾く体質だったから、感じることは同じなのだろう。 「彼らが私たちと同じような体質だったならば、あれほどにイカれなくて済んだわけですから、確かにおもしろくはないでしょう」 「はなから受け付けないワタシたちを妬む気持ちもまあ、わからなくはないが、ここまで敵対視されるのもね……」  部長はやれやれといった(てい)で、両手を広げて天井に向けた。
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