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ちょうど3度目のクリーンアップが完了し、ゲルを本体に戻し終えたとき、担任はまだカワサキさんと何か話していたので、気づかれないように用心して、彼女たちのほうにカメラを向けた。
するとどうだろう。ふたりの全身が真っ茶色に染まっているではないか!
しかも、その色の濃さからいって、ふたりともかなり重症化しているのは明らかだった。私はすぐにシャッターを切って、ふたりの体をスマホ内におさめた。
『コンテナ2』の中には、クリーンアップ部隊の一員となったあの日、初めて捕獲した2つのゲル化物体はもとより、その翌日以降に捕獲したゲル化物体もまた、存在していない。
あのゲル化した物体たちは、私の嗅覚を苦しめること以外は無害だったから、生かしておいても美味しくはない。利用価値がないと判断した私は、殺処分することに決めたのだ。
生かしておく価値のある物体を捕獲したとき初めて、私にとって本式のゲームが始まる。そして今――教室中のゲル化した物体を捕獲した今、それが始まろうとしている。
私はとてもわくわくしていた。こんな感覚は久しく味わっていなかった。特異体質の私は、親からもクラスメイトからも先生からも理解してもらえなかった。この生きにくい世の中を這いずるようにして何とか渡り歩いてきたのだ。
でも、これからはもう、そんな思いをしなくてもいいのだ。私はもう、匂いの元を断つこともできるのだし、ゲル化したクズたちを飼いならすこともできるのだから。
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