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「で、何が言いたいんですかね」
「わかんない?」
「わかんないっす」
「どんなに愛し合っていても死に別れてしまうことがある。あなたも付き合いが上手くいっていたとしても、どちらかが死んでしまう可能性があったってこと」
「はあ」
「二人とも生きててよかったじゃない」
全く納得していないことが雄大の顔を見れば一目でわかった。
「それ……何か違くないですか?」
「何がよ」
「生きてる前提で振られて悲しい、ってゆってるんですよ。死の別れは例外です」
「例外じゃないわよ」
「例外です。だいたい皇子と姫、美男と美女カップルで非現実的すぎるし、すぐに寝所に上げちゃってるし、何年も音沙汰ないとか、普通ならもう捨てられたって思って諦らめてますよ」
「ですよね、そう思いますよね。でもあなたは一ヶ月以上経っても別れ話だとは思わなかった。友達の話も信じなかった。現実を知ってもまだ好きだと言ってる。阿就多女と一緒じゃない。ずっと相手を信じてた。あなたの場合は裏切られていたわけだけども」
「……泣きそうになるから止めて下さい」
雄大は今にも泣きそうな顔をしていたので本当に泣き出すかと思ったが、涙は浮かばなかった。
「もやもやする必要なんかない。あなたは何も悪くないんだから。ずっと相手を信じられるってすごいことよ?」
李々葉は、穏やかに言った。
「距離を起きたいってゆってもらえてよかったじゃない。一言でもあったからよかったじゃない。私なんか、最近連絡ないなあ、どうしたのかなあ、なんて悠長に構えてたら新しい彼女いたんだから。私以外みんな知ってたの。私だけよ?まだ続いてると思ってたのは。どういうことよこれ、みたいな。別れ話なんかされてないからね。ちなみに今もされてない。三年も前の話なのに。ちなみに付き合ってたのは妄想じゃないからね?ちゃんと付き合おうって話はあったから。そこはちゃんとあったからね?ね?」
しつこく念を押すので雄大は笑ってしまう。
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