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出会いと期待
食べ終わったお弁当を片付けながら、少しだけダウンロードが終わるのを待っていると、ピコンという音と共にダウンロードが終わりを告げる。
僕はその音を聞くと、そそくさとアプリを起動する。
すると真っ白な画面が表示されて初めに設定が始まる。
「初めまして」
真っ白な画面から、滲みだすようにして現れた黒色の文字と、急に聞こえてくる機械音声に僕は驚きながらも、期待に胸を躍らせてマウスを動かす。
「あなたの名前を教えてください」
「お、おう音が出るのか」
僕は少し驚きながらキーボードをカチャカチャと鳴らしながらtakasiと打ち込む。
「たかしさん。ですね?」
いつ以来かもわからないが、少し温かでだけど無機質な声が僕の名前を呼ぶ。
その事に僕は、なんだか不思議な感覚を覚えて首をかしげる。
「私に名前を付けますか?」
僕が少し唖然としていると、AIは次の質問に移行していた。
「お、おう。ならどうせだし付けてみようか。そうだなAIだし、アイっていうのはどうだ?」
僕は気が付くと、キーボードをたたく指も止めて液晶に向かって声をかけてしまっていた。
僕は何をやっているんだと、頭をかくと、我ながら安直な名前をカチカチとキーボードで叩きこむ。が、声に反応したのか、打ち終わるよりも早く画面からは声が返ってくる。
「アイ、ですか。良い名前ですね」
まさかの反応に僕は驚きながら、慌ててアイに言葉で返す。
「おう。よろしく、アイ」
僕は初めての経験に少し照れながら、画面に映る[アイで良いですか?]の項目に『はい』とクリックをする。
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