3人が本棚に入れています
本棚に追加
「機能一覧を表示しますか?」
「そんなのがあるのか、なら表示してくれ」
僕の声に反応するように、パソコンに表示されていた画面が変わり、機能一覧と書かれた、1ページを優に超える程の項目が記されていた。
「こんなにあるのか」
僕は右手でマウスを転がしながら画面を眺める。
そこには電話機能を使って電話をしたり、さっき説明してくれた家電とつながって操作する、などのような機能が長々と書いてあった。
「どれをお使いになりますか?」
「そうだな。全部お願いできるか?」
「了解しました、接続と権限の開放をお願いします」
僕は途中で読むのをやめて、せっかくならと全ての権限を開放する。
「あいよ。電子器具の接続もできるか?」
「調べてみます」
「おう、お願い」
「了解しました。この家の機器ですと、このようなものが接続できます」
許可を得て機械の検索をし始めたが、その返事を告げるころにはもう検索は終わっていた。
流石はAI。なんてことを考えながら、アイの出したリストを見て僕は驚愕のあまり声を上げる。
「これって家にある電化製品ほぼ全部じゃないか!」
「はい。こちらすべてトウシハ製品でしたので接続できますよ。どちらに接続しますか?」
「うーんなら、これも全部お願い。その方がお前の居る生活っていうのを体験できそうだしな」
僕はまたマウスを適当に転がしながら、許可を出す。
「了解しました。すべての家電製品との接続を開始します。Bluetoothでの接続を行いますので、家電のBluetoothボタンを押してから、画面に表示されるボタンをタップして少々お待ちください」
Bluetoothボタンは確かに、最近の家電製品には当たり前のように付けられている物だった。
「ここは手動なのね」
「たかしさん、頑張ってくださいね」
僕が面倒なあまり嫌味を口に出すと、画面から思いもよらない言葉が返ってきた。
嫌味を嫌味だとも受け取らない。これがAIか、なんて事を考えつつも、さっきまであった嫌な気持ちも忘れて、僕はスマホ片手に家中の家電のボタンを押してまわった。
最初のコメントを投稿しよう!