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「これですべての電子器具との接続が完了しました。たかしさん、お疲れさまです」
スマホから聞こえてきた優しい声を聴いて、僕はふぅと息をこぼす。
これでひと段落かなと、腰を伸ばすと目に入った時計が12時前を示していた。
時間を見てしまったせいか、体が眠かった事を思い出したかの様に自然とあくびが出る。
「もう、こんな時間か。そろそろ寝るかな」
僕は寝室に戻って目を擦りながらパソコンの液晶に向かって話しかける。
「お疲れさまです。こちらも設定が完了しました」
「おう、アイもお疲れさま。これからよろしく」
「はい。たかしさん、これからよろしくお願いします」
その言葉を聞いて、僕はパソコンに向かってぐっと親指を立てる。
僕は電気を消そうと、壁に着いたスイッチを押そうとしたとき、ふとさっきまでの作業を思い出す。
僕はスイッチの近くまで持っていった手を下ろして、パソコンの方を向き直ってアイに向かって話しかける。
「あ、そういえば。アイ、この電気ってもう消したりできるのか?」
「はい、消せますよ。この部屋の電気を消しますか?」
彼女の言葉を聞くと、僕は高鳴った気持ちを覆い隠すこともなく。引きっぱなしにしている布団の上へとダイブする。
「おう、お願い」
僕は仰向けになって寝転がると、部屋を照らす明かりに目を奪われたように、眩しいライトを見つめながらそう告げた。
「それでは電気を消しますね」
彼女がそう言うと、僕のドキドキとは裏腹に、すぐに電気は常夜灯の状態になって部屋が暗くなる。
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