Σ ーシグマー

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アプリとGPSを利用した事件当時の容疑者の動き。 そして、現場周辺の防犯カメラ映像の解析結果まで添付されている。 「高度すぎてわからないわ」 「あとは自分で調べるなりなんなりしてくれ。俺は鑑識課に戻るからな」 水瀬が出ていくと同時に愛宕たちの上司・山岡が戻ってきた。 どうやら、所用で席を外していたようだ。 「井上、緒方、戻っていたのか」 少し疲れた顔をした山岡は、二人に声をかけると愛宕に向き直る。 「緒方、署長から呼び出した。署長室へ行ってくれ」 「え?」 「行けばわかる」 拒否権なんてあるわけがない。 愛宕はため息を飲み込み、署長室へと足早に向かった。 ノックをして返事を確認し、部屋に入る。 署長は愛宕の姿を確認すると、後頭部が見えそうなほど勢いよく頭を下げてきた。 「緒方君、君に刑事部長から特命が来た」 思わず「は?」と言いそうになった口を手で押さえ、愛宕は署長の言葉を待つ。 「今回の件で、シグマを新設する『未解決・凶悪犯罪捜査室』のメンバーに加えることにしたらしい。しかし、彼女はあの通りだ。だから、緒方君にシグマの手綱(たずな)を握って欲しいと言う要請が来た」 回りくどい言い方だが、シグマを動かせる人物として愛宕が選ばれたらしい。 シグマの能力は以前から高く評価されていたが、彼女に協力を仰げた者は居なかった。 たった一人、緒方愛宕を除いて。 「……わかりました」 断れないと思った愛宕はその要請を引き受けた。
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