いじめ代行アプリ

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その様子を見て、少女は首をかしげる。 困ったような仕草だった。 「ターゲットって」 「あら、刑事さん、知らなかったんですか。言わなきゃ良かったかなあ」 聞こうと口を開いた愛宕の言葉を遮るように少女がため息をつく。 面倒ごとになったと言いたげな表情で。 「君、ターゲットってどういうことなんだ」 彼女と愛宕の間に、井上が割って入った。 困り顔の少女は観念したように口を開く。 「刑事さん、学校の裏サイトって知ってますか? あれのアプリ版みたいなのがあるんですよ。内容は『いじめ代行』って感じでしょうか」 学校裏サイトなら、愛宕も聞いたことがある。 学校内の先生や生徒、その陰口などが匿名で書きこまれている印象が強い。 中には脅迫じみたものもあり、それらにはサイバー犯罪対策課が対応していたはずだ。 「いじめ代行って?」 聞きなれない言葉を少女に聞く愛宕。 「言葉通りですよ。アプリを使って、いじめたい生徒を登録するんです。登録された生徒の情報がアプリで共有され、実行可能な人がいじめを行うらしいですけど……」 言いながらも、彼女はスマートフォンを操作してアプリを立ち上げる。 その手元を覗き込んだ愛宕だが、少女が起動したのはゲームアプリだった。 「ゲーム?」 疑問を呟く愛宕をスルーし、少女はゲーム画面を何度かタップしていく。 勿論、ゲームを進めているわけではない。何かの法則に(のっと)ってタップしているようだ。
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