Σ ーシグマー

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Σ ーシグマー

愛宕たちの持ち帰った情報は、本庁とも共有され、サイバー犯罪対策課が調査している。 また、アプリに登録されたターゲットたちを突き止め、個別に警告して護衛をつけた。 「ゲーム感覚で傷害事件を起こしているやつがいるってことだな」 二人から話を聞いた上司の山岡(やまおか)が呟く。 いじめ代行アプリの画面が、目の前のパソコンに表示されていた。 暴行を受けたターゲットの欄にはhunted――狩ったとある。 まるでゲームのような表記のしかただ。 「サイバー犯罪対策課から連絡が来た。どうやらこのアプリに登録されたターゲットの現在位置がリアルタイムに出てくるらしい」 恐らく、スマートフォンのGPSを利用して現在位置を割り出しているのだろう。 「監視カメラの位置も、ターゲットの現在位置と合わせて確認できるらしい」 つまり、いじめ代行アプリを確認していれば、ターゲットを監視カメラのない所で暴行することが出来る。 アプリをダウンロードし、尚且つゲームアプリから裏のいじめ代行アプリに切り替えれば……。 「アプリの制作者はわからないんですか?」 制作者が全ての現況である可能性が高い――そう考えた愛宕は、山岡に尋ねる。 アプリの概要画面にある制作者はΧとなっていた。 ゲーム会社名などがないため、個人が開発したものだということがわかる。
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