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「元々、犯罪歴のある者を監視するシステムのために作った監視アプリが今回流用された様なんだ」
誰かが開発データを盗み、いじめ代行アプリに使った可能性が高い。
犯人を調べるのは、サイバー犯罪対策課の仕事だろう。
愛宕は小さくため息をつく。その時、山岡が口を開いた。
「井上、緒方。悪いが、一つ頼まれてくれないか」
嫌な予感がしたが、上司の命令では断れない。
仕方なく話を聞くと、特殊拘置施設に収容されているシグマという人物に会いに行って欲しいと言うものだった。
そのシグマが監視アプリの制作者なのだ。
厳重な監視下の元、愛宕と井上は面会室でシグマと対面する。
特殊拘置施設に収容されていると聞き、凶悪犯を想像していた愛宕はその姿に驚いた。
「こんにちは、刑事さん。こんな姿でごめんね。ボクは時雨真呼。通称シグマ。呼びやすいように呼んでくれて構わない」
特殊なゴーグルで目を塞がれたシグマが微笑む。
彼女は十代半ばの少女だった。
「あなたが、シグマなの?」
驚きを隠せない様子の愛宕だが、刑務官が連れてきた以上別人であるはずがない。
だが、事前情報からは考えられないほどシグマは幼く見えた。
「子供だから侮ってる? まあ、別に良いけどね。それで、わざわざ所轄の刑事さんがボクに何の用かな」
用件は既に伝わっているはずだ。
それでもあえて聞いてくると言うことは、二人を試しているに違いない。
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