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「他に、カイの情報はないの?」
「んー、ボクが知っているのはそのくらいだよ。ああ、性別は男だって言っていたな。本当かどうかはわからないけど」
シグマは少し悩むと答えを出す。
「ボクが知っているのは、カイという人物がボクと同い年で、ボクと同じく電子の海を泳ぐことに長けているってことくらいさ。直接会ったことはないけれど、通話はしたね。ボイスチェンジャー使っていたかもしれないけど」
その時の声が男性のものだったため、シグマはカイを男だと判断したらしい。
だが、性別なんていくらでも偽れる。
「もう一つ、聞いていい?」
「聞くだけなら。答えるかどうかはボクが決めるよ」
「そう。じゃあ、質問。あなたとカイ、どっちの実力が上なの?」
愛宕は容赦なく聞きにくいことを聞いた。
隣では井上が呆れを通り越してジト目になっている。
「あはは、お姉さん、面白いことを聞くね。そんなに知りたい?」
シグマの口元は笑っているが、声は全く笑っていない。
「あなたの方が上だというなら、カイの事を調べてちょうだい」
「おい、緒方」
挑発するような愛宕の言葉。
さすがの井上も止めるべく口を挟む。
「上等だよ。ボクがカイの居場所を突き止めてやる」
井上がストップをかける前に、シグマはそう宣言した。
彼は深く深くため息をつく。新人の指導及びお目付け役なのに、その暴走を止められなかったためだ。
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