Σ ーシグマー

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「ふん。絶対、(ひざまず)かせてやるんだから!」 頬を膨らませて怒るシグマ。 その姿は澄ましていた先程とは違い、年相応の少女に見える。 話が終わると彼女は刑務官に連れられ、面談室を出ていく。 シグマの去った部屋で、井上は盛大にため息をついた。 その様子を見て愛宕は頭を抱える。 「あー、私、何て事を……」 「本当にな。お前、後先くらい考えろよ」 「ごめんなさい、ごめんなさい」 謝る愛宕に、井上は再度ため息を漏らす。 「とにかく、シグマを焚き付けてしまった以上、何かしらのアクションがあるだろう。この特殊拘置施設内で、奴は更生のための教育を受けているらしい」 井上の説明を聞きながら、愛宕はなぜシグマがこの特殊拘置施設にいるのかを考えていた。 「とりあえず署に戻るぞ。警部に報告しなきゃならないしな」 考え込んでいる愛宕に井上が声をかける。 シグマとの面会が終わった以上、長居は出来ない。 二人は特殊拘置施設を後にした。 ▲▽▲ 中央署に戻った愛宕と井上は、シグマとの面会の結果を山岡に報告にいくため、廊下を歩いていた。 心なしか署全体がバタついている。 「どうしたんでしょうね?」 「とにかく、報告が先だな」 刑事課のデスクに戻った二人を待っていたのは、鑑識官の水瀬(みなせ)だった。 「あれ、水瀬さん?」 「どうしたんだ?」 「……緒方、あんた宛にメールが来てる」 「私に?」 「Σ(シグマ)からだ」 何故か鑑識課に送られたメール。 そこには愛宕の名前が書かれていた。
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