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「名指しであのΣからメールが来るなんて、何をやらかしたんだ、お前」
水瀬は呆れたような瞳で愛宕を見る。
愛宕は彼の視線を気にすることなく、プリントアウトされたメールの文章に目を落とした。
そこには、先程の約束通りカイに関する情報もある。
しかし、それ以上に衝撃的な内容が書かれていた。
「いじめ代行アプリのユーザーから、傷害事件の犯人を特定するなんて……」
アプリへのアクセスログ等を解析して、更にGPS情報などを元に事件当時現場にいたユーザーを特定したらしい。
各事件の加害者と思われるアプリのユーザーデータが並んでいる。
「警視庁のサイバー犯罪対策室にも知らせた方がいいんじゃないか?」
井上が愛宕の手元を見ながら言った。
「その必要は無さそうですよ。カイの居場所を追跡するソフトを、この事件を管轄する警視庁のパトカーのナビにダウンロードさせたって」
いったい、どうすればそんな芸当が出来るのか……愛宕には見当がつかない。
しかし、彼女がシグマに対して「カイの事を調べて」とお願いしたのがきっかけになったのは事実だ。
「何だか、大変なことになったな」
井上はジト目で愛宕を見る。
警視庁内では今頃、事件の加害者たちが突き止められて任意での聴取が行われているかもしれない。
シグマからのメールには、警視庁にも同様のメールを送ったと書かれていた。
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