のぞき魔の矜持

　俺はのぞき魔。
　つい最近このマンションに引っ越してきたばかりだ。
　挨拶代わりにこのマンションの手当たり次第カメラを仕掛けてやった。

　まずはお隣の奥さんから覗いてやるぜ。
　くくく、呑気に日記なんかつけてやがる。覗かれているとも知らずにな
　･･････ん？　よく見たら日記じゃねえ。人の名前ばっかり書いている？
　しかもテレビに出ている有名人ばかりのような･･････まさか！
　テレビをつける。
　有名人が死んでいた。
　どのチャンネルを見ても番組途中で出演者が死んでいる。
　これは、間違いない。
　奥さんはデスノートの使い手だ

　一人目からすげえネタを拾っちまった。
　こりゃ覗き投稿サイトの今月のMVPは俺で決まりだな。

　画面を別のカメラに切り替える。
　眩しくて目が眩んだ。
　照明が明るいのだろうか、いや違う。
　よく見れば部屋の中央に山積みの光る何か･･････
　こりゃ金銀財宝じゃねえか！
　そしてその山の上で胡座をかいて笑っている男には見覚えがあった。
　間違いねえ、国際手配されている大泥棒
　怪盗ヌパン！
　何てこった。このマンションは犯罪者だらけかよ。

　予想以上の撮れ高だ。
　早速いつもの覗きサイトに投稿だ。
　と、その前に新着の覗き動画をチェックだ。

　お、覗きのlive中継やってら。
　なになに、タイトルは、覗きを覗かれる男か。
　ははは、どこの世界にそんな間抜けな男がいるんだよ。
　ん？　よく見たらこの画面の部屋、うちのマンションに似てるような。
　しかもこの画面に映ってる男、どこかで見たことがあるような。

　･･････これ、俺じゃん

　俺、盗撮されてんじゃん

　一体誰が･･････
　このマンションは外からの警備は厳重。
　しかし、マンション内のセキュリティは脆い。
　つまり犯人はこのマンションの住人の誰かということ。

　面白くなってきやがった。
　必ず貴様を見つけだし、今度は俺が貴様を覗いてやるぜ。

　俺は決意を胸に秘め服を全部脱いだ。
　そしてカメラに股間を向けた。
　こいつは反撃の狼煙だ。

「BANになれぇぇぇ！！！」