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 机に頬杖(ほおづえ)をつく彼の背中を、わたしは真後(まうし)ろの席から見る。  空が、(あか)と金に変わり始め。  橙色(だいだいいろ)に染まる彼を一番近くで見られる、わたしだけの特等席(とくとうせき)。  あのね。  勇気がなくて。  話しかけられなくて。  顔をあわせられなくて。  背中しか見られなかったけれども。  わたし、ずっと。  ずっと、あなたが。
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