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人とすれ違う時に視線を感じた。
一人だけじゃない、すれ違う人、全員だ。
見た目が変わると、こんなに視線を集めるものだろうか。
「短いほうが似合いますし、イケてますよ」
昨日、髪を切ってくれた美容師のお兄さんが言ってたのを思い出した。
正直、嬉しくてスキップしそうになる。
でも、人が多いから今は我慢しよう。
駅に到着すると地下へ向かった。
階段を降りる時に、少し早足でリズムをとりながら降りた。
さっき我慢してた分だ。
地下鉄から流れてくる強めの風が、さらに盛り上げてくれる。
身体が軽くなり、そのまま空へ飛んでいきそうだ。
改札を通り、ホームで電車が来るのを待つ。
通勤ラッシュの時間帯だから人が多い。
待っている間も視線を感じた。
今までは見られることが嫌だったが、今は見られることが嬉しい。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
(イメチェンして正解だったな…)
心の中で静かにガッツポーズをした。
ホーム内で接近メロディが流れ、もうすぐ電車が来ることを知らせてくれた。
遠くから二つの光の目を輝かせながら、だんだん近づいてくる。
電車が到着し、目の前を通過した。
通過したときに吹いた風で髪がなびく。
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