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少し乱れた髪を整えて、電車に乗った。
中は人、人、人で溢れている。
座席と壁際は、既に占領されていた。
人と人の隙間を通り、座席前へ進み、吊革を持って立つことにした。
目の前には若い女性が座っている。
スマホを操作している手が止まり、ちらっと俺を見た。
視線をスマホに戻したと思ったら前を向き、数秒経ってから、ゆっくりと俺の顔を見た。
目が合う。
(な、なんだ…?)
可愛らしい顔で、俺のタイプだった。
じっと見つめられ、胸が高鳴る。
瞳に吸い込まれそうだ…。
女性は瞬きを三回して、再びスマホに視線を戻した。
何事もなかったかのようにスマホを操作している。
なんだったのだろう…。
俺に見惚れしたのだろうか?
いや、それは考えすぎか…。
自惚れすぎだぞ俺!
こんなことは今までなかったが、可愛らしい女性にも注目してもらえるなんて…。
(イメチェンしてよかった!)
心の中で大きく両手を上げ、万歳をした。
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