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「開いてるぞ」
「…え?」
ズボンを確認すると、社会の窓から下着に刺繍されたキャラクターが挨拶をしていた。
「………」
いつから開いていたんだ?
ランウェイをしてたときか?
電車に乗ってるときか?
地下鉄まで歩いてるときか?
もしかして…家を出たときからか!?
そういえば道中、俺を見ている人が多かった。
皆、これを見ていたのだろうか…。
スズメ達も、可愛らしい女性も、街中の人達も…。
得たものはあるが、失ったものが大きい気がする。
「皆が出勤してくる前に、ちゃんと閉めとけよ」
「はい…」
背中を丸めながら、チャックを閉める。
俺のランウェイは、静かに幕を閉じた…。
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