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世界一幸せなニワトリ
ある朝、なんだか様子がいつもと違ってた。
体が、軽いー……
体がふわっと浮いていて、真下にはニワトリが倒れていた。
あのニワトリは、だぁれ?養鶏場や学校でよく見ていた種類のニワトリー……
ここはわたしの小屋の中だけどー……なんでわたしは宙に浮いてるの?
そしてあのニワトリは、だぁれ?
「ちいちゃん……?」
珠子ちゃんが小屋をのぞいている。
わたしはいつものように、
「コーッ、コッコッコッコッ…」
と返事をしたかった、けど声が出ないー……
「ちいちゃん!!どうしたの!??」
珠子ちゃんが悲鳴を上げて、その倒れているニワトリをさすった。
「ママ!!ママ!!ちいちゃんが!!ちいちゃんが!!」
珠子ちゃんは泣きながら、家の中にいるママを呼びに行った。
わたしは、ニワトリ。
本来ならば、卵を産めなくなったら食べられて終わる運命だったニワトリ。
だけど運命のいたずらで、わたしは学校に行くことになり、珠子ちゃんのニワトリとなって幸せに過ごしたニワトリ。
卵を産めなくなっても可愛がってもらえて、肉にされることもなく。
死んだら悲しんでもらえる、世界一幸せなニワトリ。
肉体を持たなくなった魂だけのわたしは、涙を流したー……
それは亡くなってしまった悔しさではない。
もう二度と珠子ちゃんたちと遊べなくなる寂しさ、そして珠子ちゃんたちに愛してもらえた感謝や喜びなどが混ざった涙。
次第に私の魂は、どんどん上に昇って行ったー……
わたしは世界一幸せだった、ニワトリー……
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