ニワトリの運命

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ニワトリの運命

 わたしは、ニワトリ。  ヒヨコとして殻を破って生まれた、養鶏場生まれのニワトリ。  やがて大きくなったら卵を産んで。  卵を産めなくなったら食べられて終わる運命の、惨めなニワトリ。  だけどほんの気まぐれから、わたしたちはまとめて小学校に引き取られた。  どうやら小学校の教育の一環として、生徒1人につき1羽ずつ、ニワトリが与えられて自分たちで育てるんだとか。  わたしは、珠子(たまこ)ちゃんという大人しい女の子のニワトリになった。  珠子ちゃんはわたしに、ちいちゃんと名付けてくれた。  とさかが小さかったから、そう命名されたらしい。  わたしは、ニワトリ。  卵を産んで、卵が産めなくなったら食べられる運命のニワトリだったけれど、珠子ちゃんの小学校へ行き、珠子ちゃんのニワトリになれた。  卵を産んだらとても喜ばれ、珠子ちゃんはわたしをぎゅって抱きしめる。
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