8人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
警察は詰問口調で、どうあっても優一を犯人に仕立てあげたいようだった。
そのため、ことの一部始終を警察に話さざるを得なかった。
昨日、恐ろしく汚い封筒が届いたこと。
サクラ商店で預かり物を受け取ったこと。
ラズベリーを掘り返したこと。
『リーンのアトリエ』が20年ぶりに手元に戻ったこと。
エンガンジで遺体発見者となってしまったこと。
数日後、東京に戻っていた優一に、警察から連絡があった。
哲郎は事故死した、ということらしい。
円岩寺の裏手の崖から誤って転落し、死亡。
野生動物に食われた跡もあったそうだ。
この結果に、優一は納得していない。
吉田哲郎は、あることを始めたと書いて寄越した。
意図的に行われたのであり、不慮の事故などではない。
優一はこの悪趣味なゲームを最後までクリアした。
報酬が、かつての友人の死後半年後のツラという代物ではあったが。
〈完〉
最初のコメントを投稿しよう!