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小銭を出してから、先ほどのレシートにもう一度ご登場いただく。
爺さまは、裏の鉛筆で書かれた文字を読もうとしたが、優一はすかさず裏返して印刷面を見せた。
「こっちです。
ボジョレーヌーボーを1ダース買った人のことなんですが」
優一がそう告げた途端、爺さまの顔がパッと明るくなった。
「覚えとるよ。
そうそう、息子が仕入れたナントカってワインが全然売れなくてね。
でも半年くらい前だったかなぁ、見かけない人がフラーッと来て、全部買ってってくれたんだよね」
「その人って、俺くらいの年格好でしたか？」
「そう、ちょうどアンタくらいよ。
あっ、アンタもしかして……ちょっと待っとって」
言いながら爺さまは、登場時からは想像できないほど機敏な動きで店の奥へ取って返し、茶封筒を持ってきた。
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